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さようなら 7500系

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先代の7000系よりも先に引退を迎えてしまった、
低床展望型車両、7500系。
(名古屋本線:神宮前にて)

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展望席(奥)と一般席(手前)の床が同じ高さなので、
床がまっすぐ平らになっている。
 1963年(昭和38年)に登場したパノラマカー。ベースは7000系パノラマカーであるが、車体にも微妙な変化が見られる上、走行性能が改良されている。編成は、全て6両固定編成であった。

 先代の7000系は、展望席の部分だけ床が低くなっていたが、7500系は全体の床を展望席部分と同じ高さにした。そのため、運転席が7000系よりも盛り上がって見える。また、電車とホームの段差解消にも役立っていた。

 制御装置は、7000系が抵抗制御なのに対して、他励界磁制御が採用された。当時としては斬新なもので、この制御装置の導入により、速度を一定に保つ「定速運転」を可能にした。
 また7000系と同様、営業運転では110km/hが最高であったが、車両そのものの性能では、180km/h運転も可能であったという。

 こうして、当時としては最先端の技術を誇った7500系であったが、この特殊な制御装置のために他の形式と連結できず、後に制御装置の更新を行ったものの、最後まで他形式と併結することはできなかった。また、6両固定編成という中途半端に長い編成であったため、会社側としては非常に扱いにくい存在となってしまった。
 そのため、1988年(昭和63年)以降、体質改善工事を施されなかった車両から、徐々に廃車が始まった。

 また、床が全体的に他車より低いため、バリアフリーのためにホームの高さを上げてしまうと、ホームより電車の方が低くなってしまうため、バリアフリー工事を妨げる存在にもなってしまった。さらに、2005年に開業した中部国際空港駅のホームの高さが他車の床下とほぼ同じ高さになったため、同駅のホームよりも床が低い7500系は同駅に乗り入れることができなかった。

 これが決定打となり、7500系は次第に数を減らし、先代の7000系が多数残っているにも拘わらず、2005年8月7日に引退となった。

 ちなみに、廃車となった7500系の一部の機器が、1030系・1230系に流用されている。



 名古屋本線(7504)
 収録日:2005年8月5日
 収録区間:名鉄名古屋〜山王
 収録機材:SONY MD レコーダ
 備考:冷房作動。

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 低床展望型車両として登場した7500系の録音です。夏場の録音なので、冷房が作動してしまっていますが、そんなには気にならないと思います。

 音に関してですが、先代の7000系とだいたい同じですが、高速域の音が静かだったりします。また、回生ブレーキを装備しているとのことですが、減速時は無音で減速していきます。普通、回生ブレーキを装備した車両が無音で減速することは原則ないのですが、この車両は常に無音で減速しています。「この時だけ回生ブレーキを切っていたのでは?」とも思いましたが、他の方が収録された音を聞いてみても、やはり無音で減速しています。回生ブレーキを装備していない7000系は減速時に音が聞こえるのに、回生ブレーキを装備している7500系が無音というのは、何とも不思議な話です。

 ちなみに、この収録の2日後が、7500系の最終運行日となりました。たまたま旅行で名古屋に行くことになっていたので、これが最初で最後の収録となりました。普段は関東を抜けられない私ですから、今考えてみると運が良かったですね。冷房が作動しているとはいえ、大切な記録です。


7500系 7000系
参考までに、7500系(左)と7000系(右)を比較してみる。
7500系の方が全体的に低重心であるため、運転席の盛り上がり具合が違う。
また、連結器の形状の違いも見られる。


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